井関利明

今までは、コーポレート・ガバナンスが語られてきました。これからは、リレーションシップ・ガバナンスが語られなければなりません。顧客や他 の企業、地域社会や行政、ジャーナリズムとの関係をどのようにガバナンスするかという問題なのです。 そのような新しい流れのなかで、新たなビジネス理論の可能性を示唆するコンセプトが次々と生まれてきました。たとえば、コ・オペティションということば があります。これは、ネイルバフとブランデンバーガーが唱えたものですが、コーペレーション(協力)とコンペティション(競争)という二つのことばを合成 した造語です。今までなら、競争のあるところに協力はなかったし、逆も同じでした。ところが現在は、協力と競争が同時に起こっているのです。今までは、同 時に成立しないものを表すことばはありませんでした。それが、現在はごく当たり前になってきているのです。 また、単に仕様書を書いて外注するスタイルのアウトソーシングもすでに終っているのです。自組織のなかに資源もノウハウも人材もないから、外部に全部任せることをアウトソーシングというのに対して、双方で学び合いながら、互いの資源を 上手に使って協同でビジネスをやっていくことを、コ・ソーシングといいます。